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2023/12/18

【制裁強化】ファーウェイへの半導体出荷停止「ZTEと同じ運命をたどるのか?」

※2020年9月27日に公開した記事を再編集し、2023年12月18日に再度公開しました。

さあ、ど~もこんにちは!  Traife365(とらいふさんろくご)のズーカーです。

『ファーウェイへの半導体出荷停止』

今回の気になるニュースはファーウェイへの半導体出荷停止について。

9月15日からファーウェイへの規制が一層強まり、米国の技術・設備・ソフトウェアを使用して製造したすべての半導体をファーウェイに供給する場合に米商務省の承認を受けなければならなくなりました。以前、HUAWEI MatePad Proの購入を検討していただけに今回のニュースについて詳しくみていきたいと思います。

っとその前にこのニュースの全体を把握するためにスマホや半導体業界の関係性など重要だと思われるワードをピックアップしたので、先ずは重要ワード3つからみていきましょう。


 1つ目はSoC(System on a chip) 
SoCとはCPU・メモリ・GPU・通信システム(4GやWiFi)などの各種システムを1つの半導体チップにまとめたものでスマホやタブレットではSoC=CPUと考えても問題ありません。このSoCの違いでスマホの操作性や特定のアプリ(3Dゲームや写真、動画の再生、編集)使用時に大きな性能の差が出てきます。

2019年のSoCメーカーの世界シェア
 1.Qualcomm(米国)約33%
 2.MediaTek(台湾)約25%
 3.Samsung(韓国)約14%
 4.Apple(米国)約13%
 5.HiSilicon(中国)約12%  

代表的なSoCとしては
 ・Qualcomm『Snapdragon』シリーズ
 MediaTek『Helio』シリーズ
 Samsung『Exynos』シリーズ
 Apple『A』シリーズ
 HiSilicon『Kirin』シリーズ

日本では主にQualcommのSnapdragon(スナップドラゴン)やAppleのAシリーズなどが搭載されたスマホが多く、ここ数年ではファーフェイ製スマホの普及によりシェアを伸ばすHiSiliconのKirinシリーズやMediaTekの『Helio』シリーズの新製品発表があり、こちらも注目。


 2つ目はHiSilicon(ハイシリコン) 
HiSilicon(ハイシリコン)はファーウェイの子会社でファーウェイ製スマホに搭載されるSoC『Kirin』や5G基地局向けコアチップ『Huawei TIANGANG』の開発、設計を担当する半導体設計企業。

2018年に世界初の7nmプロセスルールで製造したKirin980。2020年ではすでに各社7nmプロセスルールで製造したSoCが主流となっていますが、HiSiliconのKirin980は他社と比べても引けを取らない性能で評判は上々のようです。2019年にはKirin990を発表し、次々と高性能SoCを投入しています。

Kirin990搭載のHUAWEI『MatePad Pro』
Kirin990搭載のHUAWEI『MatePad Pro』

〇nmプロセスルールとは一般的に〇の数字が小さいほど高性能・省電力といわれて、数字が小さくなるほど開発・製造が難しくコストが高くなるようです。ちなみに2020年後半~2021年頃には5nmプロセスルールでの製造が開始されると予想されています。


 3つ目はファウンドリ(半導体受託製造)
ファウンドリ(半導体受託製造)とはファブレス企業(自社生産ラインを持たない半導体メーカー)からの依頼で半導体デバイスを製造する企業のこと。QualcommやApple、その他多くのSoCメーカーはファブレス企業で自社生産ラインを持たずにファウンドリ(半導体受託製造)にSoC製造を委託しています。

2019年のファウンドリ世界シェア
 1.TSMC(台湾)約50%
 2.Samsung(韓国)約20%
 3.Global Foundries(米国)約8%
 4.UMC(台湾)約7%
 5.SMIC(中国)約5%

ファーウェイは子会社のHiSiliconを通じて自社製品に搭載する高性能SoCやコアチップの開発や設計をできますが、量産することが出来ないので半導体ファウンドリである台湾のTSMC社に生産を委託しています。これはファーウェイだけでなくQualcommやAppleなども同様です。

このTSMC(台湾)は7nmプロセスルールのSoC製造はほぼTSMC一択で世界最大の半導体ファウンドリ。取引企業はQualcomm、Apple、HiSiliconなど数100社。一方SMIC(中国)は大手ファウンドリではありますが、製造は14nmプロセスルールでTSMC(台湾)と比べると2世代、3世代遅れといわれています。

このようにスマホに搭載されるSoCは開発・設計から生産まで半導体(SoC)メーカーとファウンドリの密接な関係で生産されます。この3つの重要なワード(SoC・HiSilicon・ファウンドリ)をおさえたところでファーウェイへの半導体出荷停止について詳しくみていきたいと思います。


米国の制裁強化でファーウェイへの半導体出荷停止

米国 vs ファーウェイ

ファーウェイと取引のある企業は米国の技術・設備・ソフトウェアを使用して製造したすべての半導体をファーウェイに供給する場合に米商務省の承認を受けなければならないルールになったことにより米国のソフトウェアや技術を使っているファーウェイ子会社のHiSiliconはSoCの開発がほぼ不可能になりました。

そしてHiSiliconはTSMC(台湾)にSoC製造を委託していましたが、TSMCも米国の技術や半導体製造装置を使って生産している為、米商務省の承認を受けなければならずSoCの生産(ファーウェイ向け)もほぼ不可能になりました。

またSoCをQualcomm(米国)やMediaTek(台湾)などの外部調達に切り替えようとしても米国のソフトウェアや技術を使って半導体(SoC)を設計しているので米商務省の承認を受けなければならずSoCの外部調達もほぼ不可能になりました。

そこでファーウェイはSoCの生産を中国のSMICに切り替えようと試みますが、SMICではファーウェイ製スマートフォンに搭載される7nmプロセスルールのSoC製造ができず、生産切り替えも不可能。

ただしSMICは目覚ましい飛躍を遂げていて、近いうちに7nmプロセスルールのSoC製造も出来るようになるだろうといわれています。その為アメリカはSMIC(中国)にも制裁を検討し、半導体製造装置や半導体材料を調達できないようにするようです。


 どうすることもできないファーウェイ! 
半導体の開発から生産までのすべて握る米国の制裁強化でどうすることもできないファーウェイ。ここまで徹底的にファーウェイ叩いたとしてもOPPOやXiaomiなどの勢いのあるメーカーが出てくるのでイタチごっこのようにも思います。

ちなみに制裁発動までに猶予期間が120日あり、その間にファーウェイは必要な半導体を最大2年分確保したといわれているので当面は制裁の影響は軽微なのかもしれませんが、いつまで続くのか気になるところ。  

「とりあえずファーウェイのMatePad Proを買わなくて良かった!」

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